GUN DEC

発売日 1991年4月26日
ゲームタイトル GUN DEC
メーカー名 サミー
ゲーム容量
価格(発売当時) 6,000円
備考 なし

ストーリー

(説明書より引用)

時はAD2139年。地球では、すべての国境が廃止され人類は満ち足りた生活を送っていた。しかし一方では
犯罪の凶悪化・拡大化も世界規模で進んでいた。裏の世界を支配するための組織間の抗争は、止まることを知らず
ますます過激の一途をたどっていた。武器の密造、売春、麻薬、殺人といった犯罪が暗闇にうごめいていた。
そんな悪の組織に敢然と立ち向かう命知らずの特捜刑事たちがいた。

――その名は“VICE”。
 突然、ハート(VICE)の車にクリス(VICE)から無線連絡が入った。
その内容は『ルート246・エリアDの立入禁止区域に進入車がある』
というものだった。ハートにとっては進入車の追跡などは
毎日の日課の一つ。一種のショータイムに過ぎない。
逃走車を運転していたのは、いつものことながら極度のジャンキーであった。
しかし、そこには今までに類を見ない二点の事実が存在していた。
まず一点は、ジャンキーの左手が、まるで野獣のような体毛と
鋭い爪を持ち備えていたことである。もう一点は車内から
発見された特殊な銃である。この銃は今までに確認されている
いかなるタイプの密造銃とも異なるタキオン粒子砲であることが
後の分析の結果で判明した。


その他は、ジャンキーが使用していた薬物は
100%化学合成のコークで、2・3年まえから市場に出回り
始めたものであることが分かった。ハートはコークの出所を
確かめるようクリスに頼み別れた。背後に潜む不気味な影。
わずかな手掛かりをもとに、ハート(VICE)の捜査が始まった。

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登場人物

■ハート・ブラバム

主人公。ルート246エリアDから通報を受け早速急行。これが壮絶な戦いの幕開けとも知らず…。

■クリス・フォーセット

ヒロイン。作中では敵にさらわれてしまう。

■ソフィア・コイズミ

ハートとは別行動をとる、捜査情報を提供してくれるなどしてくれる。

■謎の男(メラニー・フォーラ)

バイオテクノロジー社、BEDA社世界最大の企業の元締め。世界の支配をもくろむ。

30年前の事を仄めかす。

■ハマー

謎の男の配下。ハゲ頭。登場はオープニングのみ。

■キム・ロン

もしかしたら妖術を使うのではないかと噂されている。

■リース大尉(ジェフ・リース)

かつての戦友だが牙を剥いて来る。




『GUN-DEC』の魅力

●ファミコン最強のハード・ストーリー
本作のビジュアルデモは、上下が大きくカットされた横長画面に、登場人物のクローズアップが中心。
要するに、『忍者龍剣伝』の「シネマディスプレイ」とまったく同じ方式である。
だが本作ならではの大きな魅力が、ファミコンゲームとしては他に類を
見ないほどハードボイルドなディテクティブ・ストーリーだ。
近未来を舞台にした、SF的な世界観。初っ端から「ジャンキー」だの「コーク(コカイン)」だの
といった物騒な単語がスッと出てくる、退廃的な雰囲気。敵も味方も多くの人間が死に
ラストも「めでたし、めでたし」とはいかない、暗くて重いストーリー。そして、
「誰だ? 隠れてないで、ご対面といこうじゃないか!?」
「フンッ! それじゃ、シーズンには少し早いが、リカルドまでバカンスに行くとするか!」
「あぁ……おかげであんたとのデートに遅れちまいそうになったぜ!!」
などなど、主人公とは思えないほどガラの悪い――というか、聞いてるこっちが赤面してしまうほど
クサくて熱い――セリフを吐きまくるダーティーヒーロー、ハート・ブラバム(27歳)。
全体に漂う、シリアスなんだけど、そこはかとなく「B級アクション映画的」なノリはご愛敬だが
同時期のファミコンゲームによく見られた「勧善懲悪」、「正調ヒーロー物」といった
ストーリーとは一味もニ味も違った魅力があり、思わず先を見たくなるような引きの強さを持っている。

●最高級のグラフィック&サウンド
グラフィックは、本作において最も優れた点のひとつだろう。何といっても素晴らしいのが
芸術的に美しい背景だ。細かく描き込まれているだけでなく、多重スクロール
高速スクロール、ラスタースクロールといった高度な技術、しかもそれらが1つの場面で同時に使用されているのが凄まじい。
例えば最初のアクションステージ。舞台は鉄骨が縦横に組まれた工事現場、バックには金色の光を
放つビル街の夜景、そしてその光が眼下の水面に映り込み、ユラユラとゆらめいている……。
また、走る列車上のステージ。列車、草原(3層に分かれている)、山々、雲(4層に分かれている)が高速で
しかもそれぞれ異なるスピードで流れていく。さらに一定時間ごとに雷が落ち
轟音とともに画面全体が激しくフラッシュする……。この美しさは、間違いなくファミコン最高レベルだ
そしてサウンド。ハードな世界観にマッチしたBGMのカッコよさもさることながら
曲数の多さにも驚かされる。ステージBGMが10曲、ボスBGMが5曲、デモBGMが6曲
これにゲームオーバーを含めた全22曲。ファミコンのアクションゲームとしてはかなり多いといえるだろう。
特に、ボスBGMに5曲も用意されているのは珍しい。シネマチックなアクションゲームらしく
シーンとBGMのシンクロに対するこだわりが感じられる。

●誰もが楽しめる“好”難易度
本作はとっつきやすいシステムに加え、ゲーム自体の難度もかなり低めに抑えられており
ストレスなくサクサク進める。初心者でも根気よくチャレンジすれば、ドラマチックなストーリーを
最後まで楽しむことができるはずだ。ライフに余裕があるので、道中における死因のほとんどは攻撃で後ろに弾かれ
そのまま転落死するパターンだろう。それを狙って敵が配置されている場所もあるので
気は抜けないが、そこさえ気を付ければ、割と力押しでも何とかなってしまう。

逆にボスについては、ライフ任せの力押しではほぼ絶対に倒せない。だが、それぞれの攻略パターンさえ発見してしまえば
ノーダメージであっけなく倒せるようにできている。このあたりのバランスも秀逸だ。ここで素晴らしいのは
それらの攻略パターンが「瞬殺パターン」や「安全地帯」のように安易なものではなく、「しゃがみダッシュ」や
「ライトサーベルの上判定」など、本作独自の仕様をうまく活用した、合理的で美しいパターンである点だ。
まさに「攻略した!」という気持ちにさせてくれるのである。

●エイコム開発作品
『GUN-DEC』の開発には、エイコムのスタッフが携わっている。ステージ3(チャイナタウン)の背景に
漢字の看板があるが、そこに書かれた4文字は「回・以・己・矛」……音読みすると「エ・イ・コ・ム」である。
エイコムは元テクモ社員が興した会社で、サミーの出資で社名が日本エイコムとなった後、一度サミーに吸収合併された。
その後エイコムは、同じ社長のもと、同じ名前の別会社として復活。さらにタカラとSNKの出資を受けて
夢工房に改編されるという経緯をたどり、SNKの消滅の後、解散している。

エイコムの作品には『ビューポイント』(発売はサミー)、『パルスター』という傑作があるが
両作品の作者である“NENKO”西村年幸が、本作『GUN-DEC』に関わっている。西村はタイトーの名作『奇々怪界』や『ラスタンサーガ』
『スーパーマン』、ジャレコの『ザ・ロード・オブ・キング』(いずれもアーケード版)の作者でもある。
また、『GUN-DEC』のサブプランナーを担当した佐藤三智夫は、セガの『ABコップ』(エイコムが開発)でデビューし
本作の後、西村と同じく『ビューポイント』の開発を経て、夢工房の名作『ブレイジングスター』でディレクターを務めている。
それ以外にも、『GUN-DEC』を手がけたエイコムのスタッフは、外注としてビック東海の『突然!マッチョマン』や
『ゴルゴ13 第二章 イカロスの謎』、ジャレコの『燃えろ!!ジュニアバスケット Two On Two』などの開発に携わっていた。
作曲者の横山清は、ビック東海の『突然!マッチョマン』、『まじかるキッズどろぴー』
ジャレコの『燃えろ!!ジュニアバスケット Two On Two』、『破兆』、『ザ・ロード・オブ・キング』
『64番街』、『ビッグストライカー』、『キメラビースト』(発売中止となった怪作)、エイコムの『USAプロバスケットボール』などを手がけている。
エイコムはあまり表舞台に名前が出ることのない会社だったが、PCエンジンの秀作『魔境伝説』や、ジャレコの『マジックジョン』なども
開発していた。ちなみに、『GUN-DEC』の前年に発売されたサミーのファミコン参入第1弾『忍者クルセイダーズ龍牙』は
エイコムではなくNMKの開発である。同時期かつ同ジャンルでありながら、作品の質に大きな違いがあるのはこのためだ。

ファミコンアクション、ひとつの到達点

確かに本作は「どこかで見たようなゲーム」である。スピーディーな横スクロールアクションと
シネマチックなビジュアルデモの融合……という『忍者龍剣伝』が確立したスタイルに、本作は多分にインスパイアされており
パクリと呼ばれても仕方ない面もある。だが、本作は本作ならではの独自のカラー、独自のアイデアも、しっかりと備えている。
そしてそれらは『GUN-DEC』というゲームに十分な存在感――存在価値と言っていい――を与えるだけの、魅力的なものだ。
それに、仮に「『忍者龍剣伝』をお手本にした」という事実があったとしても、そのことは本作の高い技術力、高い完成度
それ自体を否定する理由にはまったくならない。ひとつの独立したゲームとして見れば、本作のボリューム、グラフィック、BGM、操作性
ゲームバランスが、いずれもファミコン最高レベルのクオリティーであることは紛れもない事実である。「パクリであっても
オリジナルに負けないパクリならよい」という言葉もある……というか単純にこのゲーム、やっててスゲー面白いし。
いずれにせよ本作『GUN-DEC』が、ファミコン晩期の1991年発売にふさわしい、ファミコンアクションの到達した
水準を十二分に示す力作であることは間違いない。そしてアクションゲームファンならば、絶対に見過ごせない逸品であるということも。
「……さぁ、ショータイムの始まりだ!」




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